U-mic News

代表者である吉田 英憲と、そのほかさまざまな得意分野をもつ中小企業診断士・経営コンサルタント(広島県在住)が、専門知識と経験から得た「役に立つ」情報をまとめたフリー情報紙(企業支援者向け)です。

広島の中小企業診断士による中小企業支援機関向けの情報誌

最新号(2019年7月)

 

 

SWOT分析から戦略は出ない?!

 

ビジネス・フレームワークの落とし穴 山田英夫著 光文社新書

 

 先月、金融機関の職員の方を対象にした、「融資先の事業を理解・評価するポイント」というテーマの研修を担当する機会があり、その研修で本書の一部を紹介しました。「SWOT分析から戦略は出ない?!」は本の帯に書いてあったもので、それが印象深く本書を思わず購入しました。

 

 経営戦略や経営計画のセミナーや研修で必ず出てくるSWOT分析。私もコンサルティングの勉強し始めた時に、SWOT分析に出会いました。本書では、このSWOT分析について「やりたい人の主観を、客観的に見せるためのフレームワーク」とし、SWOT分析の落とし穴や限界について説明しています。これを読んで、「やっぱりそうだよなぁ」と私は大いに同感するところがありました。というのも、過去に数多くのSWOT分析を実施した経験を通じて「SWOT分析は本来なら客観的な分析であるにも関わらず、どうしても主観的になってしまう」という見解を以前から思っていたからです。実際のところ、私は現在、SWOT分析を活用して戦略を立案するということはほとんどおこなっていません。あくまでSWOT分析はあくまで現状把握の道具であり、そして、強みと機会を掛け合わせるなどの、クロスSWOT分析は、今後の戦略の「ヒント」の1つでしかなりません。クロスSWOT分析から出てきた戦略の「ヒント」を正解と思わずに、その後、別の観点から検証をする必要があります。補足すると、戦略立案では必ずしもSWOT分析やクロスSWOT分析を実施しないといけないという訳でもないのです。

 

 その研修では、上記を踏まえて、SWOT分析と上手く付き合う方法や、クロスSWOT分析で出てきた戦略のヒントの検証方法、それ以外の、売上アップのための戦略立案の考え方についてお伝えしました。

 

 話を戻して、本書では、SWOT分析のほか、アンゾフ・マトリックス、ビジネスモデルキャンバスなどの40以上の様々なビジネス・フレームワークについて、コンパクトな説明と鋭い切り口でその落とし穴を指摘しています。毎年、新しいフレームワークが続々登場しています。フレームワークはあくまで道具であり、フレームワークをたくさん憶えても、使う場所・使う方法を間違ってしまっては、よりよい効果が生まれません。フレームワークに振り回されることなく、落とし穴を踏まえて、うまく活用することが重要だと思います。本書は、このようなことを改めて考えさせられる良書です。

 

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2019年7月号
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