U-mic News

代表者である吉田 英憲と、そのほかさまざまな得意分野をもつ中小企業診断士・経営コンサルタント(広島県在住)が、専門知識と経験から得た「役に立つ」情報をまとめたフリー情報紙(企業支援者向け)です。

広島の中小企業診断士による中小企業支援機関向けの情報誌

最新号(2019年5月)

 

 

実行力を上げ成果を生み出す、経営計画の作成のポイント

 

 今年1月、2月のU-mic Newsでは、PDCAが回らない理由の1つに、そもそもPDCAを回すのに適していない経営計画を作成しているということをお伝えしました。実際、経営計画には、決まった型はなく、次の4つの組み合わせとそれぞれのボリュームで構成されています。

 (1)数値計画中心の計画

 (2)過去~現在の分析中心の計画

 (3)将来ビジョン・理念や方針(スローガン)中心の計画

 (4)ビジョン実現に向けた行動計画中心の計画

 

 多くの経営者にとっては、融資や補助金を目的とした経営計画を作成することが多いため、(1)(2)が中心の計画を、経営計画と思っていらっしゃる方が多いという印象を持っています。そこで、実際に作った方の声を聞いてみると、作った後見返していないこともあるという声をよくお伺いします。それは経営計画を見返しても、どう修正していいのか分からない方もいらっしゃるという面も少なからずあるかと思います。

 

 実は、(1)(2)は社外に提出するための計画となっており、社内で活用するのは使いにくい面があるのです。そのような実態を創業~新規事業~企業再生~事業承継といった様々な支援を通じて、見ている中で、 (4)の行動計画を充実させるため、ガントチャートを中心としたコンサルティングをしています。ガントチャートは、補助金の申請書などの実施スケジュールなどで見たことある方もいらっしゃると思います。もともとは、システム開発や建築の現場でよく使われている工程表です。右図のように左側におこなうべき事柄を記入して、右側にいつするのか、棒線を引いて、スケジュールを見えるようにしていきます。

 

私自身、ITシステムの営業の時に、お客様へのITシステムを導入において、上司やシステムエンジニア(SE)と共にガントチャートを作成し、お客様と共有し、ITシステムの完成まで進捗管理を共有していました。その他、会社でプロジェクト活動となれば、決まってガントチャートを作成していました。

 

 このガントチャートを活用することで、

  ① 成果を生み出すための行動が細かくできる

  ② それぞれの行動を「誰が」「いつまでに」「どれくらい」行動しなければならないかが、行動がより具体的になる

  ③ どの行動が、どこまで進んだか進捗管理ができ、スケジュール調整ができる

 といったことが可能になります。

 

 特に①がガントチャートの肝であるにも関わらず、行動を細かくしておらず、横長い線がたくさん引いてあるようなガントチャートも見受けられます。そのため、行動が進まず、進捗管理ができていないことも見受けられます。

中小企業の支援をする中で、私自身、数値計画中心の計画作成がメインとなり、ガントチャートを使う頻度が大幅に減ってしまいました。しかし、数年前の事業承継支援において、女性の後継者との出会いで、ガントチャートを説明する機会がありました。お父様の会社を引き継ぐにあたり、彼女は、経営経験は元より業務経験すら決して十分ではない状況でした。そこで経営計画、もっと広い意味合いでいえば、計画を立てる・実行するという考え方をお伝えするときに、ガントチャートを使ってお伝えしていました。

 支援の当初は、彼女と話をしながら、私がガントチャートをExcelで作成し定期的に面談をしていました。しかしながら、他人である私が作ったガントチャートは本人には分かりにくさ・腹落ち感の無さがあったようで、活動が不十分な状態でした。そこで、パソコン作業が得意ではない女性の後継者自ら主体的に作成できるやり方はないかと考えていたところ、右の図のような付箋を活用したガントチャートを提案しました。

 

 ガントチャートは作成だけでなく、更新・見直しにも時間と労力を要します。しかしガントチャートは更新・見直ししてこそ、使える道具なのです。そのため、パソコンや専用ソフトで長い時間をかけて綺麗なガントチャートを作成するよりも、付箋を使って簡単に計画でき、すぐに行動に移せることが重要だと考えています。ここ数年、付箋を使ったガントチャートを活用した経営計画を様々なところでご紹介する機会を頂きました。男女問わず創業者から後継者までどなたでも付箋とペンを活用して自分なりのガントチャートを作ってもらっています。

 

 先程の女性の後継者も含め、顧問先や個別相談先の中には、ご紹介してから2~3年ぐらいガントチャートを活用している方もおり、ガントチャートで考えた行動(例えば、お客様に選ばれる理由をつくり、お客様を自社に導く販促活動など)を次々に行動に移し、売上・利益アップなどの成果を出していらっしゃいます。

 

 当然ながら、成果を出すためには、行動するしかありません。行動ができている方は、ガントチャートの有り無しにかかわらず、自分のおこなうべき行動が細かくし、1つ1つを着実にこなしています。経営計画は作ってみたけれども計画倒れに終わってしまう経営者、日々の仕事に追われて新たな行動ができていない経営者には、一度ガントチャートを使った経営計画をオススメします。

 

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