U-mic News 2014年

代表者である吉田 英憲と、そのほかさまざまな得意分野をもつ経営コンサルタント(広島県在住)が、専門知識と経験から得た「役に立つ」情報をまとめたフリー情報紙(企業支援者向け)です。


2014年12月号

<12月号の記事>オススメ本のご紹介

最高の戦略教科書 孫子 守屋 淳 著

孫子に経営を読む 伊丹 敬之 著

 

 今月も前月に続き『孫子』の関連書籍のご紹介をしたいと思います。まず、中国古典研究家である守屋 淳氏による『最高の戦略教科書 孫子』です。彼の父の守屋 洋氏も中国古典研究家で、守屋 洋氏をご存じの方も多いかも知れません。さて、本書は二部構成になっており、第一部では、『孫子』そのものに着眼し、 『孫子』はそもそも何を問題とし、何を解決しようとしたのかというテーマのもと、『孫子』の解説パートになっております。一方、第二部では、『孫子』の教えをいかに活用するかというテーマのもと、現代ビジネスへの活かし方を著者なりの視点で展開しています。本書の冒頭部分にて、「古典を活用するためには、抽象度をあげて考えることが重要」と著者は主張しています。時代背景が異なる現代に応用するために、『孫子』を自分にとっての知恵として吸収するためには、『孫子』の内容を「簡単に言い直せばどうなるか」「より一般的に表現すればどうなるか」という視点で読み解く必要性を訴えています。第二部はまさに抽象度の上げ方の一例を示しているものと言えます。このように『孫子』の解説と、現代ビジネスへの『孫子』の活用の仕方をまとめた一冊と言えます。特に興味深かったのは、『孫子』は、著者である孫武が呉王に登用される前に、献上した兵法書であったという背景から、孫武の考えすべてを開示しておらず、戦いの深奥に触れる部分をわざと曖昧にしている点です。そのため、いろいろな解釈が生まれている理由とも言えるかも知れません。

 もう一冊は経営学者で、名著『経営戦略の論理』の著者である伊丹 敬之氏による『孫子に経営を読む』です。経営学者の視点で、『孫子』を読み解いた本です。『孫子』の本によく見られる、『孫子』の流れに沿った解説ではなく、著者なりの切り口で章立てをしている点が特筆すべき点です。「経営の本質」「将のあるべき姿」「兵の情」「戦略の神髄」「戦略的思考とは」「勢いは経営の肝」といった流れで独自の視点で『孫子』を再構築しています。経営学者の視点で、孫子の考え方を現代ビジネスの事例を盛り込みながら、説明している点が納得感をより高くさせています。各節のタイトルは孫子の一節が引用されていますが、サブタイトルには伊丹氏による解釈があり、例えば、「まず正攻法、そこに奇手を組み合わせる」「サプライズこそ戦略」など非常に明確なメッセージが添えられています。サブタイトルを読んで気に入ったところを読むのもよいと思います。

 先月と今月で孫子の関連書籍をご紹介しました。年末年始の読書の候補になれば幸いです。

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2014年11月号

<11月号の記事>オススメ本のご紹介

実践版孫子の兵法 勝者を支える最高峰の戦略書

鈴木博毅著

 

 書店を覗いてみると、最近「孫子」に関する本が多く出版されていることに気付きました。今年のNHK大河ドラマの「軍師官兵衛」でも、「孫子の兵法」が登場したりと、孫子ブームとなっているようです。私自身、これまで「孫子の兵法」に接することがなかったので、このブームに便乗して、何冊か「孫子の兵法」に関する本を何冊か読みました。読んでみると、原書は同じであるにもかかわらず、解説者の見方・解釈により、同じ本の解説本と思えない広がりを感じております。原書である「孫子の兵法」はわずか約6000字であり、その文字数が少ないが故、読み手に色々な考えを巡らせた結果とも考えられます。そこで、多少早いですが、年末年始の読書の参考になりそうな「孫子の兵法」の関連書籍をご紹介したいと思います。

 本書は、2年前に一時期ベストセラーとなった『超」入門 失敗の本質』を執筆した鈴木 博毅氏です。本書でも、「孫子の兵法」の解説だけでなく、現代社会に合わせた著者の見解が数多く記載されており、著者の主張を非常に理解しやすい一冊です。原書を読むには、ハードルが高いとお感じの方にはお薦めの1冊です。

 私自身、「孫子の兵法」の関連書籍を読み始めた段階で出会った本なので、「孫子の兵法」の全体像を知るには大変参考になりました。兵法というと、マニュアル・定石が多く記載されているイメージですが、「孫子の兵法」では、定石はほぼ「当たり前の失敗を避ける」ことに使われており、機会を捉えるような攻撃側の要素には、原則主義(考え方・見方)が述べられています。攻撃側の原則主義をベースに、孫子が多くの選択肢を持つということにこだわっていたことは現代の経営においても参考になろうかと思います。もう○○しかないと思い込むのは、選択肢がなく極めてもろい状態であり、そこから選択肢を広げて、自社にとって有利な戦略を選択する。自分の支援においても、経営者が気付かない選択肢を提示できるよう、レベルアップしていかなけばならないことを再認識した一冊です。

 来月も「孫子の兵法」の関連書籍をご紹介したいと思います。

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<10月号の記事(1)>

「分かることは、分けること」

 

 これは前職時代、上司から受けたアドバイスの中で、記憶に残るフレーズの一つです。「分かる」というのは、もちろん「理解する」という意味で、「理解する」ためには、対象となっている物事・言葉などを「分ける」、すなわち「分割」「区別」できている必要があるという意味です。ちょうどナイフで食べ物を切るように、自身で物事・言葉などの境目をつくるといったイメージです。ちなみにネットで調べてみると、「分かる」「分ける」は同じ語源のようです。

 さて、今年度も引き続き、さまざまな業種の企業にて幹部育成支援をおこなっております。自分で考えて動く人材となるために、企業毎に支援方針を変えて取り組んでおります。

 社長が決めた取り組みを単純に実行するのではなくて、経営幹部候補が自ら決めた取り組みをおこなう支援をしております。その支援においても、「分かることは、分けること」の重要性を感じることがあります。

 経営幹部が考えた内容を聞くと、そもそも、その取り組みの行う目的や、取り組みの具体的な内容が曖昧であることが見受けられます。

 例えば、この場合と、あの場合では何が違うのか?など色々な境目をこちらで確認しながら、彼らの取り組みを整理していきます。境目を区切ることで、彼らが考えることをより具体化していき、彼ら自身もより深く分かるようになっていきます。

 「分かることは、分けること」

 勉強する際や物事を理解する際に留まらず、自分の考えを整理するときにも役に立つシンプルなフレーズだと思います。

<10月号の記事(2)>オススメ本のご紹介

図解&事例で学ぶ ビジネスモデルの教科書

カデナクリエイト著

 

 幹部育成の中で、支援先の社長から視野を広げて欲しいとの要望をよく頂きます。営業、設計、管理などのポジションから、将来的に事業そのものを任せたいとの社長のご意向がある一方、管理職の方は、これまでの業務レベルから事業レベルへと発想をなかなか広げることが難しいようです。

 本書は、そういった方にお薦めしている書籍です。そもそもビジネスモデルとは何か、世の中には、どういったビジネスモデルがあるのかということを身近な事例を使って分かりやすくまとめています。業務責任者から事業責任者になるといったステージが変わる際の入門書として適していると思います。

 ただし、すべての業種のビジネスモデルを網羅しているわけではないため、これを参考に自社にとって新しいビジネスモデルを構築するといったのは、すぐには難しいかと思います。しかし、事例企業がどのようにして、価値提供し、収益を得ているのかといった、ビジネスとしての成立するモデル例を学び、視野を広げていくには良書だと思います。

2014年10月号

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2014年9月号

<9月号の記事>

 新商品や新サービスを開発している企業にお伺いすると、面談の場面でよく出ているキーワードが「付加価値」です。大手企業との価格競争を回避するために、自社の技術力・こだわりが反映された、付加価値のある商品を開発されていらっしゃいます。

 この付加価値は、文字通り、「企業によって、付け加えられた価値」です。そして、その価値を、価値があるものとして認識するのは、企業ではなく顧客です。 この付加価値によって、顧客は共感・満足し、更には感動するような商品・サービスが存在する一方、付加価値が、顧客にとって何の価値になっておらず、過剰品質であったり、値頃感がない商品・サービスも存在します。その境目は、顧客視点に立った商品・サービス開発をおこなっているかどうかだと思います。

 私自身が、ITの営業をしていた頃、顧客への提案前に上司から「その提案は、お客さんにとって、うれしい提案なのか?」というフレーズを、毎回、口酸っぱく言われていました。今振り返ると、まさに顧客にとって価値があるかどうかという点でチェックしてくれていたのではないかと思います。

 とある経営者は、「お客さまにとって、お買い得な商品かどうか」「お客さまにとって、いいことかどうか」といったフレーズを口癖のようにおっしゃりながら、顧客視点で自社の商品・サービスを検証されていらっしゃいます。自社視点から顧客視点へスイッチを変えて検討をされていらっしゃることがよく分かります。その一方で、顧客にとっての付加価値をそれほど考慮していない会社だと、面何の中で、顧客視点のキーワードが出ないことが多く、自社視点で物事を考えがちの傾向があります。

 もちろん、付加価値をすべての顧客が認識してくれるわけでありません。自社が期待する販売数などをイメージして、ターゲットとなる顧客を狭めたり、広げたりしながら、それぞれの顧客がどう思ってくれるかを検討していく必要があろうかと思います。「どのような顧客に、どのような価値を自社が提供し、顧客にどのような評価をしてもらいたいか」と自問自答することが、顧客視点の商品・サービスに繋がる質問の1つだと考えています。

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2014年9月号
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2014年8月号

<8月号の記事>

 NHKで今放送されている「スーパープレゼンテーション」という番組(http://www.nhk.or.jp/superpresentation/)をご存じでしょうか?TEDトークと呼ばれる、世界の著名人のプレゼンテーションとMITメディアラボ所長の伊藤穣一氏の解説と共に構成されている番組です。

 そもそもTEDとは「Technology Entertainment Design」の略で、NHKのWebサイトによれば、『TEDは、価値のあるアイデアを世に広めることを目的とするアメリカの非営利団体。1984年の設立当初は、「技術」「エンターテインメント」「デザイン」の3つの分野からスピーカーを集めて会議を行っていた。その後、あらゆる分野における最先端の人々が集まる場へと発展。TEDトークと呼ばれるプレゼンテーションの動画を世界に無料配信して注目を集めている。』と記載されています。上記の通り、毎週の放送を待ちきれない方は、Webサイト(https://www.ted.com/talks/browse?language=ja)にて視聴やダウンロードすることができますし、iPhoneのアプリでも視聴やダウンロードすることができます。

 TEDのプレゼンターには、「TEDの十戒」と言われるものが提示されるそうです。とあるサイトに日本語訳がありましたのでご紹介いたします。

  

  1.あなたは単純にお決まりの話題を持ち出してはならない

  2.あなたは大きな夢を夢見なければならない、または驚くべき新事実を示さなければならない、

   または今まで決して共有されなかった情報を示さなければならない

  3.あなたは好奇心と情熱を示さなければならない

  4.あなたはストーリーを語らなければならない

  5.あなたは他のスピーカーの講演について自由にコメントし、素晴らしいコネクションを

   作り鋭い議論をおこなわなければならない

  6.あなたはエゴをひけらかしてはならない、あなたは脆い人間である。成功と同じように

   失敗も話さなければならない

  7.あなたはステージからお金を儲けてはならない。会社も、商品も、書き物も、

   募金もだめである 

  8.あなたはいつも心にとめておかなければならない。笑いは良いことであることを

  9.あなたは決して原稿を読み上げてはならない

  10.あなたは聴衆の時間を無駄にしてはならない。

 

 このTEDトークをベースにした、プレゼン技法の本が何冊か発売されており、先日「TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則」を購入しました。また機会があれば、読後の感想をご紹介したいと思います。ちなみに私のお気に入りのTEDトークをご紹介すると、現在の企業支援の関係から

 ・サイモン シネック「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」

 ・ダニエル ピンク「やる気に関する驚きの科学」

がオススメのTEDトークです。

 ビジネス以外にも、さまざまなTEDトークがあり、仕事だけでなく、人生やものごとの見方の参考になろうかと思います。お時間がある方は是非チェックされることをオススメいたします。

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2014年8月号
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2014年7月号

<7月号の記事(1)>

先日、とある支援先にて作成支援した、会社案内の完成版を頂きました。創業20年を迎えつつある支援先で、これまで会社案内を作ったことがないので、20年の節目ということもあり、しっかりとした会社案内を作成したいとのことで依頼を受けました。

 通常、会社案内の作成となると印刷会社に依頼することが多いのですが、支援先の社長は、自社の魅力や強みを外部からより多く引き出してもらいたいとのことで、当方へ依頼を頂きました。

 支援においては、例えば、「支援先のお客さまにとって、自社はどういう存在でありたいと思っているのか」など将来ビジョンのヒアリングを行いました。その他、以前ご紹介した知的資産経営に関するアプローチを活用して、

(1) 「沿革」から魅力や強みを掘り起こす

(2) 「業務プロセス」から魅力や強みを掘り起こす

(3) 「顧客の評価」から魅力や強みを掘り起こす

の3点を念頭に置きながら、ヒアリングと文書化を進めていきました。

 知的資産経営の一つに、顧客が十分に気づいていない魅力や強みをPRするといったメリットもあります。今回の会社案内の作成においても、当社は意識しているものの、顧客が「他社との違い」と未だ気づいてもらえっていない魅力や強みも抽出することもできました。

 話はやや逸れますが、ブランド構築の専門家と一緒に仕事をしたときにも、上記の魅力や強みを掘り起こすプロセスは、ブランドを構築するアプローチの一部に合致しておりました。ブランドの定義は百家争鳴で「顧客との約束」という定義される方もいれば、「顧客との距離感」「品質の証」など定義される方もいます。私の見解としては、定義はさまざまあるけれども、それらが意味するところについて、当社はどのように考え、担保しているのかを説明することがブランド構築の一歩ではないかと思います。そこに共感や賛同が生まれ、ファンが生まれるのではないかと思います。

 会社案内の作成支援した支援先は、今回の会社案内をベースにホームページのリニューアルも行ない、営業展開を積極的にされるようです。これまで顧客から見えづらかった魅力や強みがより見えるようになり、顧客への信頼がより高まり、支援先のブランド力アップにつながることを期待しております。

<7月号の記事(2)>オススメ本のご紹介

鞄の中のデジモノ百科 (エイ出版社)

 

 私は仕事柄、出張が多く、また前職IT関連の営業であったので、PCをはじめとしたデジタルグッズをよく持ち歩きます。あれもこれもと入れるとスーツケースが一杯になることが多いです。日帰りの出張でも似たようなことがあり、重たくなった鞄を持ち歩くということはよくあります。他の人はどうしているのだろうかと思っていたところ、偶然にも本書に出会いました。

 本書は40人のビジネスバックの中身を取材しており、ビジネスマンだけでなく、経営者、デザイナー、タレント、モデル等様々な職種の方を取り上げています。職業が違えば、鞄の中身もこれほどまでに違うのかといろいろな驚きと発見がありました。デジタルグッズが好きな方には、新商品の紹介もあり、興味をそそる一冊だと思います。私もこの本を見て購入したい商品を見つけました。一方で、鞄を含めた総重量が5kg以上という方も多いのが印象でした。本書の中には、タブレットとPCを両方持ち歩く方だけでなく、高スペックのカメラとPCの両方持ち歩く方もいるのがその一因のようです。そう考えると自分の鞄の総重量はそれほどではないなと一安心した面もありました。そうは言いつつも「断捨離」の精神で、シンプルな鞄の中身にできたらと思っております。この著書の関連で、「携帯ツール百科」(エイ出版社)という著書も同じような内容ですので、デジタルツールなど興味がある方はオススメの一冊です。

 

 

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2014年6月号

<6月号の記事>

見出し:需要を喚起する

 先日、コンビニで、写真のようなシールが付いたポカリスエットを購入しました。ポカリスエットと言えば、運動時の水分補給といった印象をお持ちの方が、大半だと思います。この写真では「オフィスワーカー公式飲料宣言」として、運動時以外のポカリスエットの飲用についてPRしています(ご関心のある方は、http://minna-de-ion.jp/top.goをご確認ください)。このシールを見て、ポカリスエットを運動時だけでなく、オフィスで飲むこともあり得るのかと思ったのは私以外にも多くいらっしゃるかも知れません。

 また、知人から特急の車内であった次のようなエピソードを聞きました。車内で駅弁(有名な駅弁だそうです)を購入したときに、車内販売員さんから「こちらのお弁当は持ち帰り用ですか?」と聞かれたそうです。知人にとっては「駅弁は車内で食べるもの」という認識でした。しかし、車内販売員さんのその一言で、自分が車内で食べる用と奥様へのお土産用として、2つの駅弁を知人は購入しました。

 ポカリスエットの「オフィスワーカー公式飲料宣言」や車内販売員の一言は共に、既存商品の新たな需要を喚起することに他なりません。既存商品でも別の視点から光を当てれば、売上を拡大する可能性を示しています。売り手からの新たな利用方法の提案によって、購入者の固定概念を巧みに崩し、購買意欲を促進している点が参考になろうかと思います。ただし、留意する点として、その提案が、売り手からの押しつけ・思い込みの提案ではなく、購入者に「なるほど、そうか!」と思わせる提案となるように工夫を凝らすことです。

 みなさまのお付き合いされている企業においても、既存商品の新たな需要を喚起することを一緒に考えてみてはいかがでしょうか?

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2014年6月号
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2014年5月号

<5月号の記事>

 「ピーターの法則」という法則をご存じでしょうか?この法則が意味するところを、原文のままお伝えすると、「階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する」です。

 やや分かりにくい表現だと、お感じの方は多いのではないでしょうか?説明を加えると、例えば、優秀な営業成績を収める営業担当者を想像してください。彼の営業成績を評価され、部下を率いるチームリーダーとして営業課長や営業部長に昇進します。そのポジションでは自分で営業をするというより、部下を育成する能力やチームをマネジメントする能力が必要となり、チームでの営業成績が求められます。それが評価されると、次のステップとして例えば事業部長や役員などに彼は昇進します。このポジションでは、事業戦略を立案したり、損益把握し改善策検討したりなど経営者レベルの能力が必要となります。つまり、前のポジションで発揮した能力だけでは、次のポジションで成果を上げることは難しいということです。

 このピーターの法則では、「昇進する度に、更に別の能力が求められ、その能力が発揮できなくなると(すなわち無能レベル)、次の昇進はない」ということを、「階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する」と別の表現をしていることになります。

 前置きが大変長くなりましたが、現在、いくつかの企業から幹部育成のご相談を頂いており、特に実感するのは、通常の日常業務だけでは、経営幹部が経営幹部として成長するのは難しいケースが多いと実感しております。

 例えば、営業部長が経営幹部となっていく場合、これまでやってきた世界(営業)に閉じ籠もらず、視点を高くして、知識を身に付けて、新しい世界(経営幹部)の中でどう動けるかが重要です。しかし人員に余裕がない中小企業では、現実は営業部長兼役員という形であるため、よくあるのが、ついつい営業部長の視点に戻り、そこで忙しく働いてしまい、経営幹部としての仕事がほとんどできていないということがよく見られます。

 経営幹部として対応するテーマは、営業部長の時より、もっと漠然としており、どこから手を付けていいのか不明瞭なテーマが多いです。そこから自分なりにテーマを分解し、整理して、当たり所をつけて対応していく。このようなことに経験がない場合は、残念ながら思考停止に陥ってしまします。自分自身の思考停止という現実を見たくないが故に、営業部長として奔走しているケースも少なくはありません。

 漠然としたテーマに対応できる能力が、どの企業の経営幹部に求められる能力のひとつだと確信しており、現在幹部育成をおこなっております。この幹部育成の過程を、肉体に例えて言えば、これまで使っていない筋肉(能力)を使うので、はじめは動きが悪いですが、コツを掴めば、そのうち自然と動きがよくなってきます。

 中小企業の経営は、社長がすべてと言われます。ただし、企業の成長の伸びしろやスピードについては、幹部の働き次第だと、様々な会社の状況を見て確信しております。

 なお、冒頭でご紹介した「ピーターの法則」は書籍で紹介されており、他にも鋭い視点で著者の主張が展開されているので、関心がある方はご一読ください。

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2014年4月号

<4月号の記事>

 現在、複数の会社において、中期ビジョンを策定するお手伝いをしております。経営者と膝を突き合わせて検討したり、社員の意見を集約したりと、経営者の意向を踏まえて様々な形でビジョン策定支援をしております。

 ビジョンに関する定義は多様であり、私は「○年後に当社がありたい姿を、より視覚的に表現したもの」と伝えております。その一例として、ビジョンには、売上目標など数値目標を盛り込むことが上場企業を含めて多く見受けられます。しかし、「目標」だけでなく、そこから発せられた「想い」こそが、より重要だと考えております。

 例えば、中期ビジョンによって社員の参画意欲をより引き出したい場合、重要なポイントとして、まず(1)社員がビジョンを聞いて、メンバーが共感できるかどうかという点です。もう一つは(2)ビジョンを達成できたときに、メンバーが実感する恩恵が何かという点です。

 (1)については、社員がビジョンを達成に損得抜きに一心不乱に貢献し、その達成感を味わいたいということが挙げられます。この場合は、企業のビジョン達成が社員個人の成長や満足にかなり密接にリンクしているケースです。

 一方、(2)については、ビジョン達成に対して、社員の自発的な意欲を十分に引き出せない場合に、それを達成した際に社員がどうなるのかを金銭的、非金銭的な報酬を提示するケースです。当然ながら(2)に比べて、(1)の方がよりビジョン達成の意欲が高まることはご承知の通りです。この2点の想いが、いずれかもしくは両方、ビジョンに反映されると、組織的なまとまりは強くなり、中期ビジョンの達成の可能性が高まると考えます。

 その他にもビジョン策定の視点のポイントはいくつかあります。これらのポイントを盛り込みつつ、今回のお手伝いしている企業にとって、社員のより参画意欲の高いビジョンの策定ができたらと思います。

 

 

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2014年3月号

<3月号の記事>

 先日、パントマイムのショーを見る機会がありました。パントマイムとは、演者が声を用いず,身体の動きや顔の表情のみで演じるものだそうです。先日のショーでも二人組が声を用いず、また実在する物をほとんど使わずに、まるでそれが存在するかのようにドアを開けたり、オーディオ機器を操作したりするシーンを演じていました。2人には全く同じようなものがそこに見えているような印象でした。

 企業内でも見えないものを共有することは経営においても、日常業務においても数多く存在しています。一例を挙げると経営において、「経営方針」がシンプルに記されている場合、考えた経営者しかその真意を理解できていないということはよくあります。また日常業務においては、「納期」という言葉ひとつにとっても、とらえ方は社員において様々なケースも散見されます。今年度より製造業の支援先にて、社内用語定義集を作るプロジェクトに参加させて頂くことになりました。工場内で使用する言葉を抽出し、誤解がないようにまとめてまいります。

 日本アカデミー賞で、長い年月をかけて国語辞書作りに挑む姿を描いた「舟を編む」が最優秀賞となりました。この映画ほど壮大なものではないですけれども、社内のメンバーがそれぞれの用語を同じように認識し、イメージが合致するようなものに仕上げていければと思います。

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2014年3月号
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2014年2月号

<2月号の記事(1)>

 「お客さまの声に耳を傾けよう」といった類いの話は、読者の皆さまはご存じのことかと思います。ある支援先で「お客さまの声」について、分析を行う機会がありました。お客さまの声の中には、「国産だから」といった声が多く見受けられました。それでは、「国産」というのをセールスポイントしていいのでしょうか?

 お客さまの声の分析において、分析側が留意しておくべき点は、大変失礼な言い方かもしれませんが、「すべてのお客さまは、表現力が優れているとは限らない」といった点です。ある商品に対して、お客さま自身が感銘を受けた点はいくつかあろうかと思います。それを、より具体的に表現したいけれども、なかなか言葉にならない場合もあります。その表現しきれない考えや思いを、口に出すときに思わず「国産だから」といった表現でひとまとめにしてしまう可能性がある面も見逃してはいけません。

 お客さまの声で確認したいのは、お客さまが評価した、製品・サービスの(1)「機能」と、機能によってもたらされた(2)「効用(分かりにくい場合は、成果、解決、物理的・心理的変化と言い換えても知れません)」。です。今回の場合も、「国産だから」というところから、機能や効用の視点でのもう少し深掘りをおこない、「国産+α」のセールスポイントを見出しました。

 その一方で、お客さまの声をより深掘りしていくためには、対面ヒアリングをすると、「国産だからよい」と感じた具体的な思い・理由が出てくる可能性もあります。ここでは、聞き手が結論を誘導しないようにニュートラルな聞き方をおこなう必要があります。

 お客さまの声をもとに、自社にとって新たな気づきなどを得ることができます。しかし、お客さまの声には、正しく伝え切れていない声もあるという前提で内容を精査・深掘りしていく必要があろうかと思います。

<2月号の記事(2)>オススメ本のご紹介

書名:お金の流れが一目でわかる!超★ドンブリ経営のすすめ 社長はこの図を描くだけでいい!

著者:和仁 達也

出版社:ダイヤモンド社  

 

 本書は、表紙にあるような図解を用いて会社のお金の流れ、売上目標設定、キャッシュフローを分かりやすく説明しています。練習問題もあり、例えば「5%の値上げで利益は何倍?」といった問題から儲けの仕組みを理解することができます。

 特筆すべきは、本書が計数管理の領域に留まらない点です。著者は公認会計士・税理士ではなく、コンサルタント(著者曰く、ビジョナリーパートナー)であることから、導き出された現状と理想(ビジョン)をどうやって社員と共有すべきかというステップも記載されています。

 ただし、計数管理の分野においては、基本的な概念に留まっており、本書では「幹」の部分に説明を絞っている感があります。そのため複数事業や複数商品を扱っている場合は、本書に書かれてある基礎知識をベースに工夫が必要かと思います。

 会社の数字に詳しくない社員、また創業者・創業予定者に説明する際には有用な一冊だと思います。

 

 

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2014年2月号
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2014年1月号

<1月号の記事>

 独立してから毎年、新しい分野に取り組ませて頂いており、企業が抱える課題は実に広範囲なものであると実感しております。さて、年末より「ダイバーシティマネジメント」導入に関するご相談を受けております。ダイバーシティマネジメントという考え方は、現在十分に浸透しているとは言い難い状況ですけれども、これから幅広い企業にて導入されることが期待されています。

 経済産業省によると、ダイバーシティマネジメントとは「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義づけています。ここでの「多様な人材」とは、「性別、年齢、国籍、障がいの有無などだけでなく、職歴や経歴などの多様性も含む」としています。

 上記を読んで頂くと、経営者、社員にとって非常に未来が明るい経営のように思われます。しかし、今回ご相談頂く中で、導入に向けての懸念点を感じましたので、その一部をお伝えしたいと思います。

 まずはダイバーシティ(多様性)を、社長、社員が受け入れる必要があります。当たり前のようにお感じかも知れませんが、「言うは易し、行うは難し」といった印象をこれまでの企業支援の中で感じております。「自社を多様性のある人員構成としたい」と考えていても、受け入れ側が多様性を受け入れる度量・器量がなければ、結果多様な人材を受け入れることはできません。「多様性」を受け入れることは、自社の経営者・社員にとって、「想定外」の言動、思考スタイルを受け入れる必要がある場合もあります。つまり、受け入れ側の意識改革が必要ということは言うまでもありません。

 その一方で、「多様性」という言葉は、非常に魅力がある言葉であるものの、言葉の持つ「危険性」を無視することはできません。多様性を受け入れる企業を目指すからと言って、新たに入社された方の言動・思考スタイルを丸々受け入れてしまうと、自社が築き上げてきた大切で価値のある風土・価値観まで壊しかねる危険性があります。そのため、何を受け入れて、何を受け入れられないかといった当社の前提条件を整理しないまま、ダイバーシティマネジメントを導入するのは、得策でないと考えます。ダイバーシティマネジメントという考えは素晴らしいものですけれども、いかに自社にマッチしたものにするかが重要なポイントだと思います。

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