SWOT分析では経営戦略ができないなら「強み」を分解して中小企業の経営戦略を考える!

中小企業が隠れた強みを掘り起こしたイメージ

中小企業の強み・弱み分析やSWOT分析などで出てくる、強み。

 

「自社の強みは何ですか?」という問いかけや「強みを活かす」というフレーズを聞いたことがあるかも知れません。当社では、中小企業向けの経営計画策定や知的資産経営のセミナーなどにて、隠れた強みを掘り起こす重要性など伝えています。

 

しかし、 現状を分析するときや今後を考える時に「強み」という、曖昧な言葉だけで考えると、いいところはたくさんあるのに、損益が改善しないという状況になることが多いです。

 

また、SWOT分析で中小企業の経営戦略を考えていても、本当にこれでいいのかと思い悩むこともあるかも知れません。 

 

著者である私自身、SWOT分析を使って、強みを見出し経営戦略を考えて参りましたが、筋のよい経営戦略が策定できない経験が何回かありました。

 

その経験を踏まえて、当社では経営戦略作成コンサルティングをおこなうときに

 

「強み」を、

 

 (1) 他社でなく自社がお客様に「選ばれる理由」に関するもの

 (2)売上・利益などに影響する「得意なこと」

 (3)その他の「いいところ」「プラスのこと」

 

と3つに現時点では分けて経営戦略を考えるようにしています。

 

では、この3つの強みについて次項にて説明します。

中小企業の「強み」を3つに分解する意味合いとは

中小企業の強みについて分析したイメージ

 

(1)他社でなく自社がお客様に「選ばれる理由」に関するもの

 

 中小企業が継続・成長にするにあたって、一番重要な要素です。当然ながら売上を確保するには、お客様から選ばれ続けなければなりません。なぜ、他社ではなく、自社をお客様が選んでいるのか、その理由を考えていくのです。その例として挙げられるのが、「商品力」「接客力」です。その他、「店舗の雰囲気」なども選ばれる理由に関係します。決して、販売する商品・サービスだけでお客様が選んでいるとは限りません。

 

視点を変えて、「固定客が多い」ということを「強み」に挙げることもあります。それは多くのお客様にとって「選ばれる理由」があるからです。それをもう一歩、踏み込んで考えると「選ばれる理由」に関するものが出て来るはずです。

 

(2)売上・利益などに影響する「得意なこと」

 

 この項目に該当するものには、例えば、営業力などが挙げられます。選ばれる理由があったとしても、それをPRしていかなければ、売上につながりません。このような力を持っているかどうかで売上・利益に差が出てきます。その他は、数値管理などの管理力やロスが出ない仕組みがあるなどです。

 

 なお、他社よりも安く仕入れることができる力(仕入力)は、それが結果的にお客様への売価などに反映して、「選ばれる理由」になっていれば、(1)にも関係します。その場合は(1)にも入れておくことをオススメしています。

 

(3)その他の「いいところ」「プラスのこと」

 

 これは(1)、(2)以外のことです。例えば、「後継者がいる」ことを強みに挙げた場合を考えたとしましょう。後継者が、(1)の選ばれる理由、(2)の売上・利益に影響する「得意なこと」に貢献していれば、そのどちらかに入る場合があります。例えば、(1)商品開発力がある後継者、または (2)業務改善が得意な後継者というケースです。しかし、まだ(1)(2)の状態でない後継者であれば、(3)になってしまう場合もあります。その他、「借入が少ない」「社員の平均年齢が低い」なども(3)に入るかも知れません。

 

 ここには、自社がまだ気づいていないようなもの、活用し切れていないものが存在します。この中から、(1)や(2)へ変化するようなダイヤの原石が眠っているかも知れません。

中小企業の強みを3つに分解して、見えてくるもの

強みを活かした中小企業の経営戦略イメージ

このように3つ分けることで、

・当社は、選ばれる理由はあるにもかかわらず、営業力が弱かった

・当社は、選ばれる理由はソコソコだけど、営業力やPRが他社よりも上手い

・当社は、選ばれる理由が弱くなっており、営業力やPRも他社と変わらない

など、強みに関する整理がおこなえます。

 

この整理をおこなわないまま、SWOT分析をして経営戦略を策定しても、筋のよい経営戦略は策定できない可能性があります。

 

その具体的な例として、経営改善計画の策定をせざるを得ない中小企業の多くは、

 (1) 他社でなく自社がお客様に「選ばれる理由」に関するもの

 (2)売上・利益などに影響する「得意なこと」

が不十分なことがほとんどなのです。

 

なので、この強みを3つに分けないまま、SWOT分析をしても、筋のよい経営戦略が生まれなかったり、書類上は戦略・経営改善計画が完成しても、実現可能性が不十分で達成できなかったりするのです。

 

 

中小企業の経営戦略を考えるためには

では、どのように中小企業の経営戦略を考えればよいのでしょうか?

 

それは、経営戦略を考えるにあたって、

・お客さまに選ばれる理由に関係するものだけを考える瞬間

・会社の売上・利益などに影響する得意、不得意なことを考える瞬間

など分けて考えることで、そのことにフォーカスでき、思考や議論が研ぎ澄まされていきます。

 

 

 例えば、選ばれる理由については、今のお客さま、将来のお客さまに選ばれる理由は十分なのか?ひょっとしたら、(3)の「いいところ」「プラスのこと」を選ばれる理由に活用できないか?という視点です。

 

 一方で、多くの中小企業では、「選ばれる理由」は十分にあるにもかかわらず、お客さまに十分に伝わっていないことがあります。そこで(2)売上・利益などに影響する「得意なこと」に絞って考えていくことが重要です。自社分析・経営戦略策定をする際に、強みで混乱した場合、是非、上記の視点で分けて考えてみてください。自社の見方が少し変わるかも知れません。

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