ローカルベンチマークとは?

ローカルベンチマークを経営に活かす

「ローカルベンチマーク」という言葉をご存知でしょうか。

 

経営や金融に関する場で使われることが多く、融資の際に銀行の担当者とローカルベンチマークを使って、一緒に分析した経験がある経営者の方もいるかもしれません。

 

ローカルベンチマークとは、簡単に言うと「会社の健康診断」のようなものです。

しかし実際のところ現状では、経営者にとってあまり聞き慣れない言葉のようです。

 

そこで今回はローカルベンチマークの概要と方法、注意点を説明します。

またローカルベンチマークが使えないと思われている要因等についてもお伝えします。 

 

ローカルベンチマークとは

ローカルベンチマークを意識した財務の分析のイメージ

 

ローカルベンチマークに関して、経済産業省のホームページに記載されている説明文を見てみましょう。

 

 ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)として、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されるものです。

(参照 http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/)

 

先ほども述べた通り、「その企業を評価するための指針」と捉えていただくと、わかりやすいかもしれません。

 

また、ローカルベンチマークは、略して「ロカベン」とも言われています。

 

近年、経営や金融の場では事業性評価が着目されています。

 

しかし、融資などで話し合いがもたれる場合に、双方が別々の評価尺度を持っていては、議論が進みにくくなってしまいます。

 

そのため、お互い共通の評価尺度として、活用が期待されているのがローカルベンチマークです。

 

当社でも、2016年に地方銀行にてローカルベンチマーク導入のお手伝いをさせていただきました。

 

なお、ここまでを見ていると

 

「ローカルベンチマークは経営陣だけで行う」

「ローカルベンチマークは、銀行の融資担当者と交渉する際に使う」

 

とお思いになる方も多いかも知れません。

 

しかし、ローカルベンチマークは企業内でも活用することができます。

 

 一例として、従業員との対話にもローカルベンチマークを活用し、従業員の意見から、企業の新たな強みが見つかったのです。また、課題も明らかになったことで、対応策も見つかりました。

 

詳しい内容は、以下の経済産業省の資料をご覧ください。

http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/jireiseiwa.pdf

 

 

経済産業省のホームページには、上記以外にもローカルベンチマークの活用例が掲載されているため、導入を考えている方は見てみることをオススメします。

ローカルベンチマークを導入するには

ローカルベンチマークの財務資料のイメージ

 

ローカルベンチマークは、経済産業省のウェブサイトに掲載されているからダウンロードできるローカルベンチマークツールを使って進めていきます。

(参照 http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/)

 

上記サイトにて、ローカルベンチマークツールをExcelデータでダウンロードできます。

具体的には、以下の財務情報と非財務情報に関するデータを入力していきます。

 

□ 財務情報の6つの指標

① 売上高増加率(売上持続性)

② 営業利益率(収益性)

③ 労働生産性(生産性)

④ EBITDA有利子負債倍率(健全性)

⑤ 営業運転資本回転期間(効率性)

⑥ 自己資本比率(安全性)

 

□ 非財務情報の4つの視点

① 経営者への着目

② 関係者への着目 

③ 事業への着目

④ 内部管理体制への着目

 

用語だけ見ると難しく感じるかもしれません。

 

そのため、融資の担当者など金融に関する専門家やコンサルタントに入力とその後のコンサルを依頼してみるのも良いでしょう。

 

財務情報については、主観ではなく、客観的に数字で事業の評価がわかるので、今後の経営に生かすことができるはずです。

ローカルベンチマークが使えないと思われる理由

ローカルベンチマークを活用して経営が上手くいっているイメージ

 

先ほども述べたとおり、ローカルベンチマークツールに入力して進めていきます。しかし、そのツールの空欄を数値や文言だけ埋めることだけに集中していると、会社の良さを理解できない場合もあります。

 

そして、ローカルベンチマークを使って何の意味があるの?という疑問や、ローカルベンチマークは使えないという判断をされる方もいらっしゃいます。

 

このローカルベンチマークが使えないと思われる理由として、シートを埋めることで、何か新しい答え・戦略・評価が生まれてくるとやや過剰な期待があるからだと推測しています。

 

しかし現実は、シートを埋めるだけでは、何も生まれてこないのです。

 

まずはローカルベンチマークの実施に当たっては、取引先の事業を理解する、「事業理解」を前提したものであると認識すること重要です。

 

「事業理解」があってこそ、「事業性」を評価できたり、新たな戦略を検討できるのです。

 

すなわち、ローカルベンチマークは「事業性評価」の前に、「事業理解」という点を意識しているからです。

 

それゆえ、ローカルベンチマークのシートに「事業理解」以外のことを必要に求めようとしすぎると、ローカルベンチマークは使えないという判断になってしまうのです。

 

 

ローカルベンチマークツールの活用時の注意点

上記の前提のもと、当社でローカルベンチマークツールを使用する場合は、当社ではヒアリングを大切にしているのです。

 

そうして事業理解が進む中で、経営者の方もよりいっそう自身の企業について愛着が持てる場合が多く見受けられます。 

 

 

特にお伺いするポイントとしては、お客様が他社ではなく、当社を選ぶ理由は何なのかを探っていくことで、その会社の真の強みが見えてきます。

 

そして、それが実現できている理由はどのようなことがあるのかという裏側をじっくりヒアリングしていきます。

 

そして、見出した「選ばれる理由」や「強み」は、伸ばしたり、PR方法を変えたりすることによって、その企業の成長を促進することもできます。

  

 中には

 

「これも我が社の強みかもしれない」

「よし、次はこの事業を展開していこう」

 

と、自発的に気づく経営者の方もいるかもしれません。

 

このような愛着や気づきを芽生えさせるのも、当社の考えるローカルベンチマークのあり方の一つです。

 

 

一方で、中小企業の場合、発信力が弱いことが多々あります。

 そのため、ヒアリングで明らかになった「強み=御社をお客様が選ぶ理由は何なのか」を効果的にPRする方法を提案するのもコンサルタントの務めだと考えています。

 

 

・PR方法を改める

・その強みをさらに磨く

・新たな強みを追加する

 

 

といった方策をめぐらせて、事業理解から、事業発展への検討をおこなっております。

今回はローカルベンチマークの概要とやり方、注意点をご紹介しました。

 

ローカルベンチマークでは、あらかじめ決められたフォーマットに沿って対話を進めていきます。そのため、お互いの意見を交換・共有しやすいのがローカルベンチマークの特徴です。しかし、そのフォーマットを埋めることだけに集中していては、企業の強みを見逃してしまうかもしれません。

 

当社がこれまで「選ばれた理由」は何なのか?これからも「選ばれる理由」は何なのか?を、特に考えながら作成することが重要です。それが事業理解なのです。

 

 

ローカルベンチマークのツールを活用して事業理解をしたものの、将来像が描けない、また、SWOT分析をやってたけれども、よい打ち手が見出せないという方は以下のコラムやブログも是非ご一読ください。